200年の歴史を持つ茶屋建築を改装し、石川県ゆかりの高質な伝統工芸を紹介する『金澤しつらえ』が7月23日(祝)リニューアルオープン。

ひがし茶屋街から、北陸の工芸を発信する。

金澤しつらえ外観

2020年7月23日(木)、『金澤しつらえ』をリニューアルオープンします。今年は、ひがし茶屋街が公許・形成された文政3年(1820年)から数えてちょうど200年。この節目の年に、脈々と受け継がれてきた貴重な茶屋建築をよみがえらせ、次の200年に向け、世代を超えて受け継いでいってほしいという願いを込めてリニューアルをいたしました。

【『金澤しつらえ』について】
 藩政時代の街並みを今に伝える「ひがし茶屋街」。『金澤しつらえ』は、その入口の広見に位置する金沢市指定保存建造物です。今回の改装では、この地域の財産ともいえる建物を次世代に残すため、耐震構造等を大幅に強化するとともに、内装も一新し、高質な伝統工芸を広く紹介する新しいスタイルの施設となりました。

【改修について】
 改修にあたっては、茶屋の建築文化を継承するとともに、お客様の利便性を考慮し、フロアをフラットにしてお靴のまま見ていただけるようにしました。また、壁を一部取り外し、見通しのよい広々とした空間となりました。さらに、200年の歴史を大切にし、各年代の改修工事の名残を尊重しました。例えば、かつて別の場所に使われていた欅一枚板をカウンターに利用したり、土間の2階部分の床材を1階のフローリングに利用するなど、それぞれの部材も大切に受け継いでいます。  2階部分は広々としたカフェとしました。特注のカーペットは、かつて行われていた浅野川の花火をイメージし、華やかながら落ち着いた和の雰囲気となっています。

伝統工芸作家の作品が並ぶギャラリー

【1階ギャラリー・ショップについて】
 地域の代表的な高質工芸品を日本全国、さらには世界へ向けて発信するギャラリー・ショップです。重要無形文化財保持者(人間国宝)や文化勲章受章者、伝統工芸士をはじめとする選りすぐりの作家様の作品を展示し、そのオーラをじかに感じていただくことができます。また、季節にあわせた企画展示なども予定しています。 〇主な取扱い/九谷焼、加賀友禅、山中漆器、金沢箔、金沢漆器、加賀象嵌、大樋焼、加賀繍、ほか

【取扱い作家様一覧(あいうえお順、敬称略)】
浅蔵五十吉、魚住為楽、魚住安信、打田幸生、大樋長左衛門、大樋陶冶斎、葛西美和、御前智子、木村貴子、“Classic Ko(漆工芸大下香仙工房)”、柴田博、高明、田中瑛子、寺嶋絵里子、中川衛、仲田錦玉、架谷庸子、針谷絹代、針谷祐之、伴征二、福田良則、堀川十喜、毎田健治、毎田仁嗣、三浦晃禎、宮越仁美、美山富、宮吉由美子、山口義博、山田登陽志、山中國盛、山本篤、山本長左、横山佐知子、𠮷田るみこ、𠮷田幸央、𠮷田美統、ほか

茶房やなぎ庵

【2階やなぎ庵について】
 2階のスペースにはゆったりとくつろげる茶房を設けました。ここからは、茶屋街を見渡す心地よい景色を楽しめます。メニューは、伝統工芸品の茶碗で楽しむお抹茶と金沢の和菓子のセットのほか、季節のフルーツをふんだんに使ったパフェなど、多彩なメニューを取り揃えています。

旧諸江屋

【金沢市指定保存建造物『旧諸江屋』について】
 『金澤しつらえ』の建物には200年の歴史があります。ひがし茶屋街が公許・形成された文政3年(1820年)に2棟の茶屋として建てられ、のちに改築され一体化し「諸江屋」の屋号となりました。往時は、茶屋街でもトップクラスの人気を誇る一軒だったといわれています。あでやかな弁柄塗りと木虫籠(きむすこ)の外観は、代表的な茶屋建築の様式美を今に伝えています。

【株式会社箔一の町家の保存・復元について】
 株式会社箔一では、ひがし茶屋街エリアにて、町家の保存・復元を行っています。地域の大きな魅力でもある歴史的な街並みを守るために、建物の保存とともに、様々な資料や文献をもとに、藩政期の茶屋建築の復元を行ってきました。
<これまでの取り組み>
・2010年 『かなざわ 美かざり あさの』 一般的な住宅を改装し、茶屋建築を復元
・2011年 『箔一東山店』 旧銭湯「東湯」の外観を守りつつ、補強・改築
・2019年 あぶらとり紙専門店『うつくしや』 一般的な住宅を改装し、茶屋建築を復元
・2020年 金箔化粧品専門店『KINKA』 一般的な住宅を改装し、茶屋建築を復元